先輩、好きです。
怖くなったら背中を押してくれる仲間がいる。


くじけそうになったら支えてくれる応援がある。


『……よしっ』


もう大丈夫。


そう心で呟き、私はトラックへ新たに一歩を踏み出した。


そして、私にとってのその大会は準優勝で幕を閉じた。


その後、あの選手の学校を確認し、以降の大会で一つ上の先輩だと言うことを知った。


私はどうしても先輩と同じ学校に行きたかったこともあり、同じ学校の子と下心ありありで仲良くなり、先輩が入学したのが藤城高校であることを突き止めた。


突き止めるまではよかった。


…が、しかし。事は思わぬ方向へ進んでいた。


なんと、陸上にしか能がない私からしたら勉強なんぞ二の次だったため、藤城高校が県内屈指の進学校であることに気づいたのはそののちの話だ。


それからというもの、両親が私のことを自分たちの子かどうか疑うほど、私は死にものぐるいで勉強に明け暮れた。

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