僕のホシ
「けどね、東京に来てはぐれちゃったの。」
「は?!それやばくない?!てか携帯持ってんじゃん連絡しろよ!」
咄嗟に言った言葉に対して奏はフッと笑った。
さっきまでの悲しそうな笑いに比べてふと出たような笑い方だった。
「はぐれたなんて嘘。置いてかれたの。」
また元のニッコリとした笑い方に戻った。
「置いてかれたってどういうこと?」
「わかんないの(笑)でも、バイバイって言われた。」
「なんで追いかけなかったわけ?」
俺は奏に渡されたペットボトルを冷蔵庫にしまいながら言った。
「わかるでしょ?来るなっていう空気の感じ。時の流れ。背中とか。」
大人びている言動に思わず
「お前さ、何歳?聞いてなかったけど。」
「奏?奏は17だよ。学年でいうと高3だよ。でももう学校には戻らないよ。」
俺は1人で驚きが隠せなかった。