泡の夢~きっとまたわたしを見つけて~
ふいに、誰かに話しかけられた。
気のせいだと思った。
幻聴だと。
あたしも寂しいという感情が死に際にでもあるんだ、と感心すらした。
それなのに、
「足元冷やすと余計寒くなるよ?
ただでさえ寒いのに。
もしかして、死ぬ気?」
また聞こえてきたその声は、近くからなのか遠くからなのか分からなかった。
波の音みたいに自然で、かすかに笑っているようだったけれど嫌な感じもしなかった。
海に入れていた片足をついにあたしは出して、その声のする方を探した。
死ぬことも忘れて。