男なんかじゃない
どうしよう。

あの感覚を感じてからはやととうまく接する事ができなくなってた。

はやとから声をかけられてもひと言ふた言返事するだけ。

ひどい時は無視してしまう。

そんな日々が1週間以上続いていた。

はやと「おい、ゆうき!」

その声にビクッとして逃げようとした時、はやとに腕をつかまれて、はやとは言った。

はやと「お前、いい加減にしろよ!この頃なんなんだよ、その態度!俺、なんかしたか?」

ゆうき「いや…べつに…」

はやと「じゃあ、なんで無視すんだよ!今も逃げようとしてただろう!」

ゆうき「……なんでもねぇよ!離せよ!ほっといてくれよ!うぜぇよ!」

はやと「……わかったよ。勝手にしろよ。」

私は言いすぎたと思ったがはやとから逃げてしまった。

はやとはものすごく悲しそうな顔をしていた。

でも、自分でもどうしたらいいかわからず逃げてしまった。

ごめん、はやと。

それからは全くはやとと話さなくなった。

全く話さないなんて事は今までなかった。

寂しいと感じる。だけど、どう話したらいいからもわからない。

私はたぶんはやとが…はやとが…

でも、はやとだって他の人と同じ。
私を男みたいにしか思ってないだろう。
私を心配するのもただ、幼馴染だから。

このままでいい、このままがいい。
そうだ、このままで…

ゆいか「ゆうきさん、どうかしたんですか?」

ゆうき「いや、なんでもないよ。」

ゆいか「はやとさんとケンカでもしました?」

ゆうき「いや、違うよ。」

ゆいか「じゃあ、気づいちゃたんですか?はやとさんの存在の大きさに?」

ゆうき「え?」

ゆいか「…はぁ~。そうか、とうとう来ちゃたか、この時が。」

ゆうき「いや…私は…」

ゆいか「いつか来ると思ってました。告白するんですか?」

ゆうき「まさか…はやとは私を男みたいにしか見てないと思うから。」

ゆいか「…そうですか。ホント、鈍感ですね。ムカつくんで特別にヒントあげます。
はやとさんがベース始めた理由なんだと思います?」

ゆうき「なんで?」

ゆいか「ゆうきさんがギターはじめたからだそうです。いつか、音楽的な事でもゆうきさんを支えられたらって思ったから。だそうです。以上。私、戻ります。じゃあ。」

驚いた。
そうだ、はやとはそういうやつだ。と改めて思った。

昔から自分よりも他人のために動くやつだ。

私はいつの間にかその事が当たり前だと日常的なものだと思うようになってしまってた。

はやとは肝心なときにいつもそばにいてくれた。

それは普通な事じゃないんだ。

今さら、こんな事に気づくなんて…

バカだよな…本当にどうしたらいいかわからないよ…

ーある日の飲み会の終わりー

ゆうき「今日はごちそうさまでした。私、こっち方面なんで…じゃあ、失礼します。」

はやと「ゆうき!ちょっと待て‼送ってくから。」

ゆうき「大丈夫だよ。ひとりで帰れる。」

はやと「いや…でも…」

ゆいか「じゃあ、はやとさん♪私、送ってって下さい。ね!いいでしょ。」

はやと「じゃあ、またゆうきも一緒に…」

ゆうき「ひとりで大丈夫だって言ってんだろ!じゃあな。」

私は逃げるように店の前から去っていった。


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