一匹狼くん、拾いました。
銀狼。
「さぁーて、今日は何処から潰すかな」
俺はタバコを吸った後、そう言って怪しく微笑んだ。
俺が今いるのは、桐谷街(キリヤガイ)という名の商店街の中にある10階建てのマンションの屋上だ。
ここ、桐谷街は
不良がわんさかいる世界だ。
今は夜中の11時。
屋上から地面を見下ろすと、
喧嘩をしている族が何十人といた。
「……楽しいな」
いつだって変わらない。
喧嘩は単純な弱肉強食の世界だ。
俺は三上俊平(ミカミシュンペイ)。
銀色に染めた髪と釣り上がった瞳が特徴。
ここじゃあ、銀狼(ギンロウ)なんて言われてる。
グレーの狼耳フード付きパーカーの下に銀色の髪をのぞかせ、一匹狼のように単独行動を好むからか、そう呼ばれるようになった。
自分で言うのもなんだが、ここじゃあかなり有名だと思う。
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