一匹狼くん、拾いました。
血流の奴らが俺に近づいてくる。
オイオイ、勘弁してくれ。
……もう喧嘩する体力残ってねぇよ。
直後、血流の奴らが4人一気に倒れた。
……え?
仲間割れか?
いや、血流の集団を他の暴走族が倒してるのか。
それから二分くらいで、血流の奴らは全員倒れた。
「銀狼……お前大丈夫か?」
血流を倒した男達のうちの一人が、俺の顔色を伺ってきた。
血流を倒したのは、華龍(カリュウ)だった。
東京No.1の族で、暴走族の中じゃ1番メンバーも多い。
薬とかもやってないし、ナンパから女を守ることもあるからか、社会からも毛嫌いされてないまさに正義の族。
俺に声をかけてきたのは、総長の馬渕結賀(マブチユイガ)だ。
透き通っているかのように綺麗な金色の髪と垂れた瞳が印象的で、族の世界では親切だって定評のある総長だ。
「……さみぃ」
俺は首を振り、小さな声で呟いた。
結賀は着ていたコートを脱ぐと、それを俺の背中にかけた。
「……顔色悪いな。熱っ!!お前、熱あるだろ」
身体を小刻みに震わす俺を結賀は心配そうに見つめ、俺の額に手を当てた。
驚いた顔をした結賀を見て
安心したのか、唐突に力が抜け
俺は結賀に身体を預けて眠りについた。