一匹狼くん、拾いました。
翌日、目が覚めたのは昼頃だった。
起きると隣に仁はいなくて、
ベッドの端には、グレーのパーカーとスキニーが雑に畳まれて置いてあった。
「……洗っててくれたのか」
俺はそれに着替えてから風呂場に行き、仁から借りた寝巻きを洗濯機にかけた。
「……仁、学校いったのかな」
風呂場から出ると、俺はダイニングに足を運んだ。
「ん?」
中央にあった小さなテーブルの上に、書き置きがひとつ置いてあった。
【ミカへ
学校先行ってるから。
お前、俺と同じクラスなんだからいい加減授業でろ。華龍の奴ら同じクラスにいないから暇なんだよ。また吐いたら面倒見てやるから。
飯は台所のフライパンにフレンチトーストがあるから好きに食べて。
また後でな】
フレンチトーストねぇ……。
仁って、もしかして甘党……?
似合わねぇ。
俺は台所に行くと、フライパンのふたを開けて、そこにあったフレンチトーストを皿に移した。
ひと口食べると、一気に砂糖とはちみつと卵の味が口に広がった。
「……あま」
小声で、俺は感想を漏らした。