一匹狼くん、拾いました。
眠そうになりながら授業を受けていると、すぐに昼休みになった。
俺は1組にいる結賀達3人に用事だと言い張り、仁と2人で屋上に向かった。
「やぁ、待ってたよ。久しぶり銀狼。……いや、三上俊平くん?」
屋上のドアを開けて、緋也はそう言って笑った。
「っ!!」
俊平と言われただけで鳥肌が立って動けなくなった俺の腕を掴み、緋也は俺を屋上に無理矢理入らせた。
「はい、邪魔者は退散してねー」
続けて緋也は制服のポケットから鍵を取り出して、仁が入る前に、内側から屋上のドアに鍵をかける。
「おいっ!ミカっ!!!」
ドア越しに聞こえた必死感を醸す仁の声は、泡となって消えるだけだった。