一匹狼くん、拾いました。
緋也は俺の両手首を片手でまとめて掴み、もう片方の手でパーカのフードを外した。
「……やめろ」
「バカなの?やめるわけないじゃん。
……これ虐待の跡?痛い?」
緋也は俺の頭のへこみを鉄パイプで叩いた。
「あああああ!!」
俺は言葉にならない悲鳴を上げる。
「緋也ーいいの?このイケメン私達の好きにして」
近づいてきていたのは下っ端ではなくて幹部だったのか、緋也に親し気に話しかけていた。
「うん、どうぞお好きに。僕は銀狼って反応面白そうだから、傍観に徹することにするよ」
フードを戻しもせずに、緋也は俺から離れていった。
ペロッ。
幹部の女のうちの一人が、俺の頬を舐めた。
「んー肌すべすべ。好きになっちゃうかも!」
真っピンクの髪に長いまつげをしたその女は、俺に抱きついて、楽しそうに笑った。