一匹狼くん、拾いました。
「うん。歓迎するよ?ミカ」
緋也は笑い、俺の頭をそっと撫でた。
「香里奈、遥、もう終わりだよ。銀狼、もうパーカー着ていいよ。あとで保健室行こうか。手当してあげる」
緋也はそう言って怪しく微笑んだ。
俺は床に落ちていたパーカーを掴み、着た。
「銀狼、早速なんだけどさぁ……華龍と縁切ってくれない? 血流ってさ、極悪非道が売りだから、正義が売りの華龍と仲良い奴が仲間になったってバレたら結構マズいんだよねー。だから、今総長か幹部に電話して血流に入るって伝えてよ」
俺の隣にきて、緋也は笑いながら言った。
「……わかった」
嗚呼。
案外、呆気ないな。
本当に、俺は今更何を望んだんだろうな……。
幸せなんて、手に入るはずもないのにな。
それでも、……たとえ手に入れる資格がないとしても、俺はそれを手にしてみたいと思ったんだ。
仁、俺はお前を信頼してるよ。
俺は、仁に電話をかけた。
「……仁、俺は血流に入る」
《は、ミカ何言って……》
俺は、仁が言い切る前に電話を切った。
お前なら、俺が好きで入ったわけじゃないことに、気づいてくれるだろ?
そうだと、信じてるよ……。