一匹狼くん、拾いました。
緋也……。
「ごめんなさい俊平様。
旦那様は、決して悪気があってやったわけでは……」
汐美は俺の頬を濡れタオルで拭きながら、静かに言った。
「……いや、別にいい」
俺は汐美から目を逸らして言った。
「ありがとうございます。……幼い頃から一人にされて、旦那様は、先程俊平様が言った通り、本当はすごく寂しいんだと思います」
「……聞いてたのか?」
「すみません、聞くべきではないのかと思ったのですが、デザートを運んでいたら旦那様の大きな声が聞こえたので、つい……」
汐美は、目じりを提げて困ったように笑った。
こいつ、本当に緋也のこと心配してるんだな……。