一匹狼くん、拾いました。
「……これは旦那様に内緒して欲しいのですが、貴方様が泊まり来ることを、旦那様は私と魁人さんにそれはそれは嬉しそうに話をしていたのでございます。
ですが、旦那様はどうも、他人といると自分が独りなことを思い出して怒ったりしてしまうことが多くて、いつも言い合いになったりしてしまうのでございます。
テレビを見なくなったのも、本当は嫌いなどではなく、自分が独りなのを思い出すからなのでございます。
テレビで放送されるドラマや映画は、大抵はハッピーエンドになります。ですが、旦那様の未来は……ハッピーエンドにはならない。そう考えてしまうのでございましょう」
汐美は、緋也の姿をを思い出して、割れたティーカップを愛おしそうに見つめていた。
……緋也。
お前、ちゃんと愛されてんじゃねぇかよ。
気づいてやれよ。
こいつ、すげー心配してんじゃん。
まるでほんものの母親みたいだ。