一匹狼くん、拾いました。
「銀狼、お前名前は?」
結賀が、お粥を口に運んでいた俺に聞く。
「………あんたらに名乗る義理はない」
「……いや、どこまで一匹狼なんだよ。
流石に名前くらい教えろ」
結賀は俺をじっと見つめてくる。
「嫌だわ。……銀狼だから、略して銀って呼べばいい。他の族の奴らにもそう呼んでんのいるから」
俺がそう言うと、結賀は納得しないような顔をした。
「……名前教えろ」
俺の目を見て訴えてくる。
……これじゃあ俺が悪いことしてるみたいじゃねぇか。
「ハァ………しつこいな。三上だよ三上。
下は呼ばれんの嫌いだから教えねー」
「じゃあこれからお前はミカな!」
そう言い、結賀は俺に屈託のない笑みを向けた。