一匹狼くん、拾いました。





目の前にいるこいつを、心の底から、羨ましいと思ってしまった。





こいつは、死んだ親にきちんと愛されていたんだ。






……俺は、父さんに



全く愛されていないのに。





もはや10年以上、商品と言われ続けているというのに。







「……ねぇミカ、こんなことを言うのは僕の柄ではないし、遅すぎるかもしれないけれど、言わせて。





……ミカ、君は僕が守るよ。






君が親に一生愛されないで孤独だというのならば、その孤独を僕も一緒に背負うか。





愛されたいというのなら、親の分まで、君を友達として愛そうか。






そうやって、死ぬまで君のそばにいてあげよう。




僕といれば、人生退屈しないと思うよ?」







回りくどくて、分かりづらい言い方だった。




それでも、俺の瞳からは一筋の涙がこぼれ落ちた。






「……僕は今から悪なんてやめて、本気で真っ直ぐな男になってみようと思う。




……僕がこんな風に考えるようになってしまったのは君のせいだ。



君が僕に過去を聞いて、僕がテラスに行くきっかけを作ってしまったんだからね。




ミカ、死ぬまで君のそばにいてあげよう。だから君は、僕が改心して真っ直ぐな男になれるようそばで見張っててよ」










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