一匹狼くん、拾いました。
八重歯を光らせて、
緋也は屈託もなく微笑んだ。
「……俺といたら、死ぬかもよ?
俺のことを守ろうとして、もう既に2人死んだ」
顔を俯かせて、消え入りそうな声で俺は言った。
楓も、岳斗も死んだ……っ。
「僕には魁人と汐美という心強い執事とメイドのボディガードがいるからね、その点は何も問題ないよ。
ミカ、……君は僕がこの命に代えても守ってみせる」
緋也は、父さんによって作られた俺の身体を両手で強く強く抱きしめた。
………神様なんて居ない。
信じてない。
今更、救いなんて訪れない。
ずっとずっとそう思っていた。
それでも華龍に会って、また友達ができて、
俺は救われた。
そして今は、ついこの前まで敵だった男すらも……俺を救おうとしてくれている。