一匹狼くん、拾いました。
翌日。
「俊平様ー、朝ですよ。起きてください」
露磨の声が、俺の眠りを妨げた。
「んー」
まだ眠い……。
「主人が貴方を毎朝7時に起こせと仰っていた
ので、後5秒で起きなかったら、お仕置きですよ?」
露磨のその声が、無理矢理俺の意識を覚醒させた。
何をされるかなんか分からなかったのに、どうしようもなく嫌な予感がした。
俺は、慌てて目を開けた。
「……おはよ」
「おはようございます、俊平様。早く起きたのは素晴らしいと認めましょう。でも残念、もう5秒経ってます」
そう言った直後、露磨は枕元にあった目覚まし時計を掴んだ。
「どうせ時間通りに起きれないのなら、この時計はある意味がありませんね。壊してしまいましょうか」
ベットの上で身体を起こしていた俺の顔に向かって、
露磨は時計を投げ飛ばした。
俺は咄嗟に、顔を両手で覆った。
バンっ!と、耳障りな音を発して、時計は俺の右手首に衝突した。
「痛……っ」
右手首から、真っ赤な鮮血が流れた。