一匹狼くん、拾いました。
その時、
テラスの扉が開いた。
「ゴホッ!……すみません、旦那様」
露磨が魁斗の両腕を掴み上げ、
テラスに入ってきた。
魁斗は右側の頬が赤く晴れ、
執事服の膝から下が切れていた。
両足の膝は露磨に殴られたのか、赤く腫れ上がっていた。
「……魁斗っ!!!」
緋也が近づこうとすると、露磨はポケットからカッターナイフを取り出して、それを魁斗の首に突きつけた。
「……助けようと思っても、そうはいきませんよ?
さぁ俊平様、帰りましょう。
貴方は主人の犬なのですから」
ここまでかよ……っ。
バン!!!
「すまん魁斗っ!!!」
直後、誰かが後ろから露磨の頭を殴った。
思わず、露磨は魁斗を下敷きにして床に崩れ落ちた。
「魁斗っ!!」
気絶した露磨を魁斗の上からどかし、
緋也は泣きながら魁斗を呼んだ。
「旦那様……何泣いてるんですか。私は大丈夫です。さぁ、彼が眠っているうちにここから逃げましょう」
「ああ、早く逃げるぞ緋也!ミカ!!」
俺は、思わず声がした方に顔を振り向かせた。