一匹狼くん、拾いました。
「ミカ、落ち着け。俺だ」
結賀はミカの両肩に手を当て、諭すように言った。
「……ゆい……が? …………悪い。俺、やっぱ帰るわ」
ミカ……。
「その足でか?」
「それは……っ」
俺が聞くと、ミカはすぐに言葉に詰まった。
「……バイク俺んちあるし、送ってく。お前明日からちゃんと学校来いよ。留年すんぞ?」
腕を組んでいう。
「……そんなんどうでもいい。後、俺は仁の家から一人でバイクで帰るから。送んなくていい。
………俺の家、録なもんじゃねぇし」
俺から顔を背け、罰が悪そうにミカはいった。
録なもんじゃない……?
「……いや、録なもんじゃないならますます送った方がいいだろ」
「じゃあ言い方変えるわ。……頼むから来ないでくれ」
顔を伏せていたが、ミカの顔は見るからに青白かった。
俺は何故か、ミカが家に帰るのを怖がっているように見えた。
「……帰りたくないのか?」
俺は、ミカの腕を掴んだ。
腕はまだ微かに震えていた。
「あんたには関係ない。仮にそうだとしても……俺、ここに居たいとも思わねぇし」