一匹狼くん、拾いました。
一歩~仁side。
ミカの本名を知ってから、一週間ほどが過ぎた。
あの日以来、ミカには会えていない。
怪我の治しに専念してんのか、夜に喧嘩してる噂すら聞かない。
あの繁華街には銀狼が毎日のようにいたから、暴走族内ではたった1週間だけでも、銀狼が消えたと大騒ぎになっている。
………どうしたもんかな。
俺は窓際の一番後ろに置かれた、無人の机と椅子を覗き見た。
……ここにいたんだろうな。
直後、バコーン!っと音がして、頭に衝撃が走った。どうやら、センコーに出席簿で頭をたたかれたようだ。
「莎草ー、一時間目からよそ見とは、いい度胸だなぁ?」
「……さーせん」
「お前謝る気ないだろ!!罰として、黒板の問題解いてこい!」
めんどくさい展開になったなぁ……。
いいや。解いたら屋上いって授業サボるか。