一匹狼くん、拾いました。



俺は渋々立ち上がると、黒板に書かれていた数学の問題をさらさらーっと解く。





「……これでいいすか?」



「なっ、……あぁ」



俺が解けたのにびっくりして呆然とそう言ったセンコーに、俺は大嘘を吐く。



「……頭いたんで保健室いってきまーす」






あぁ、だるいだるい。



階段を上がり、屋上のドアを開けると、そこには既に先客がいた。





「……ミカ」





「……仁か」





ミカが屋上の中央で膝を曲げながら頬杖をつき、空を見上げていたのだ。







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