一匹狼くん、拾いました。
「……仁、お前覗いてただろ」
幹部室に戻ってきたミカが、顔をしかめながら言う。
バレたー。
「……悪い。なんかあんのかと思ってさ……」
俺は罰が悪そうに、髪を引っ掻きながら言う。
「……詮索すんな」
そっけなく言い、ミカは俺から目を逸らした。
「……なんで泣いてたんだよ」
「……あんたらに世話焼かれる筋合いも、話す義理もない」
ミカ……。
横顔から見える瞳は相変わらず暗く、何も映してはいなかった。
少しは心開いてくれたのかと思ったんだけどな……。
まだまだ先は長いか……。