一匹狼くん、拾いました。
俺はパーカーを脱いで、腹に巻いていた包帯をとった。
この前殴られたせいか、腹にある虐待でできた傷から、血が出ていた。
仁の真似をして、コットンに消毒をかけて、それを痣にあてがう。
あざに消毒をかけ終わると、俺は使っていた包帯をゴミ箱に捨てた。
自分の腹を見て、顔をしかめる。
腹には何十個ものあざと切傷と、火傷の跡があった。
俺は包帯を手に取って、腹に巻いた。
俺は服を着直すと、ダイニングルームのドアを開けて、キッチンにいる仁の後ろ姿を見た。
「……友達を作らない必要はないか」
仁を見ながら、小さな声で呟く。
母さんに言われたことが頭をこびりついて離れない。
出来ることなら、俺だって友達を作りたい。
「ハッ」
俺は自分を嘲笑った。
人殺しが今更、何を望んでるんだ。
友達なんてできるわけないのに。