一匹狼くん、拾いました。





「……銀、少しくらいわがまま言え。



親を困らせるのは、子供の特権だろう」





頭を撫でて、白猫は笑う。





「……俺と親父は、家族じゃねぇもん。




ありゃ、奴隷と王だ。



………一つでも命令に背いたら、きついお仕置きが待ってる」




俺は骨をズタボロに折られて、身をもってそれを知った。




「………なぁ白猫、なんで俺だけこんな酷い目にあってんの?




友達欲しいとか、好きなもの食べたいとか、
お年玉ほしいとかって、そんなにわがままか?




……俺はただ、例えば朝誰かと登下校して、恋人とか作ってさ、普通に笑って生きたかった。




……家の中が地獄なら、せめて外は少しくらいマシでもいいじゃないかって、そう思うことすらダメなのか?




……もうどうすればいいかわかんねぇよ」




なんで、こんなに何もかも拘束されなきゃならないんだよ………。




「……いつ帰ってくるか分からないんだ。帰ってこないうちは、思う存分好きなことしてろよ。




……たとえ帰ってこようと、俺と華龍でお前を守ってやるからよ」




白猫が俺の体を、上からそっと抱きしめてくる。




「……少し、考えさせて」



俺はその腕を振り払い、BARを出た。






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