一匹狼くん、拾いました。
願望。
高校の屋上に行って空を見上げていると、
楓や岳斗の姿が脳裏に蘇ってきた。
「……クソ親父」
罵倒したところで、俺が出来ることなんてない。
屋上の柵を飛び越え、風に当たる。
銀髪が風に煽られて、作り物の顔が向かい側にある建物の窓に映った。
…………今ここから飛び降りたら、俺は死ねるのか?
あんなクソッタレに殺されるくらいなら、いっそここで……。
『俊平ー!!』
ぽたぽたと、涙がこぼれ落ちた。
頭に浮かぶのは、まだ仲が良かった頃の家族との思い出。
親父が俺を商品と言ったのは、いつからだっただろう。
……6歳の頃からだっけか。
愛されたいなんて、そんな大層なことは願わない。
叶うハズはないと知ってるから。
それでも……俺は奴隷でも、操り人形でも、商品でもないって、そう認めてほしい。
それすらきっと、あの親父は我儘だと切り捨てるのだろうけれど。
…………すげー虚しいな。
――欲しい。
こんなことになってでも生きる意味が、俺は欲しい……。