一匹狼くん、拾いました。
思わず、腰が抜けて仁の胸ぐらから手を離して床にへたりこんだ俺に、結賀はそっと手を差し伸べてきた。
「…………」
俺には、差し伸べられた手をただただ無言で凝視することしかできなかった。
その手を掴んだら、世界は変わるのだろうか。
俺は、光のある世界に行けるのだろうか。
……俺は、また友達ができるのだろうか。
俺は、この生き地獄から抜け出せるのだろうか……。
抜け出したい。
………生きたい。
恐る恐る手を出すと、結賀はその手を無理やり握ってきた。
「うっ、う……」
両目から大粒の涙が零れる。
悲しいんじゃなくて、どうしようもなく嬉しかったんだ……。