嘘つきピエロは息をしていない
「い、いつでも聞いてくだされ」
照れて黒縁メガネをクイッと指で上げる白木氏の頭を、
「いい子ー!」と撫でる新見先輩。
白木氏が耳まで赤くなった。
「印刷したいときはどうしようー」
「まぁ……このくらいならパソコン部のプリンターを使ってもよかろうかと……」
それを聞いた新見先輩は目を輝かせ「配布物の作成や台本の印刷なんかもお願いできたりなんてして……?」とちょっと無茶なことをお願いし始め(抜かりがない!)、白木氏から先生に掛け合ってみてますよと前向きな返事をもらっている。
そんな二人を眺めていると、隣でいっちゃんが「新見、白木の扱い上手いな」と微笑んだ。
人見知り気味だった白木氏(マンガやアニメの話になると熱く語り始めるけど、それ以外は大人しそうなガリ勉くんって雰囲気だ)がはやくも演劇部で打ち解けられているのは新見先輩のおかげだ。
「それで」
いっちゃんと反対側である、私の左隣にいた部長から話を切り出された。
みんなには聞こえないくらいの小さな声で。
「君たちは、いつまで恋人ごっこを続ける気だ?」