嘘つきピエロは息をしていない
「大丈夫。してないよ」
気ならとっくに悪くしてる。
君と話しているとイライラしてたまらない。
最初に会ったとき、廊下から教室を覗いてる君を見て、邪魔だと思った。
そしたら周りも気にせず一方的に話し始めて。
やっぱり面倒くさい子だと感じた。
そして次に会ったとき。
優しく話しかけてあげたのに――他の子ならシッポを振るところなのに、君は俺に用はないと言った。
忘れろと言った。
……コケにされた気がした。
「モデルのお仕事向いてるよね、西条くん」
今更おだてたって無駄だよ。
君の印象、俺の中でこの上なく最低だから。
「よく言われる。このルックスに生んでくれた両親に感謝しなきゃね」
「いや、なんていうか、背が高いとか、顔が小さいとから脚が長いとか、容姿が向いてるのもあるけどね。見た目だけじゃなくて、姿勢も尊敬するところだらけだしなって。知れば知るほど味の出るタイプだよね、西条くん」
「……そうかな」
なんの確証があって吉川がそんなことを言っているかわからない。
「西条くんが世界中から注目される日が楽しみ」
「大袈裟だね。世界中って」
「夢はでっかくだよ!」
「吉川さんといると悩んでるのがバカらしくなってくる」
「悩んでるの?」