嘘つきピエロは息をしていない
「でもでも。幼児扱い……してきたよね」
「してなきゃもたねぇだろ。色々と」
「そうなの?」
「そこはあまり深くツッコむな」
「私、イリオモテヤマネコに似てるかな」
すると、ナイキくんが顔を覗き込んできた。
無言でお互いを見つめ合う。
照れくさくなってきた。
「そうだな。お前は希少種だ」
やっぱりナイキくんの瞳は綺麗だ。瞳だけじゃない。肌も、髪も、それから心も――
「……なんか言えよ」
「そういえば保先生が」
「なんで今アイツの話するかな」
「え、ごめん!」
「いやもう安定の吉川きりにホッとしてる。で、保がなに?」
「泊まってけばいいよって」
「はあ?……泊まんの?」
「うん。和子さんに連絡した。合宿を思い出すね」
「他のやつも?」
「んーん、私だけ」
「……そうかよ」
「それでね、保先生が、せっかくだからナイキくんの部屋に布団敷いておいてやるって言ってた」
「アイツの話はだいたい冗談だから真に受けんな」