嘘つきピエロは息をしていない
「おはよ」
「部長! おはようございます!」
今日も朝からお美しい。
登校中に会えるなんてラッキーだなぁ。
部長の尊さで私の中の怒りゲージが小さくなっていく。
「今朝は眠れたか?」
「はい!」
本当は今日もあまり眠れなかった。
というよりは、眠ったはずなのに眠れた気がしない。
寝ている間も起きているような感覚。
そんなこと、もちろんありえないのだけれど。
「で? クソダサ丸眼鏡って?」
「ハッ……。それ、は」
「なにか嫌なことでもあったか?」
「ちょっと、同級生から、嫌なこと言われてしまって」
「へぇ。貧乳とか?」
「えぇ!? ちがっ!」
まさか部長からそんなイジリ方されるとは思いませんでした。
「なんだか、大切なものを全てを否定されたといいますか」
「なに言われたか知らないけどさ。それ言ってきたのって吉川にとって大切なヤツ?」
――え?
「親友? 家族?」
「た、他人です。もう二度と口きかないような」
「だったら、まあ、いいんじゃない?」
「……へ?」