嘘つきピエロは息をしていない


「人からイジワルされたり、わかって欲しいことをわかってもらえないと、そりゃあもどかしいし。悔しい。泣きたくもなるさ。だけど、今吉川を悩ませてるのは赤の他人で二度と口をきかない“どうでもいいヤツ”なんだろ?」
「まぁ……はい」

 そのとおりです。

「なら、なんとでも言わせておけばいいさ。そんなヤツに振り回される時間が勿体ない。わかってくれる人がわかってくれればそれでいいと、私はそう思って生きているよ。この世のすべての人間から好かれるなんて無理なんだしさ」

 カッコイイです部長……!!

「って言ってもまぁ。吉川は、ついこの間まで中学生だった可愛らしい女の子だもんね。傷つくよね」

 部長、あの、私なんだかドキドキしてきましたよ!?

「私は吉川好きだよ。一生懸命で」

 ――そろそろ昇天しそうです。

 たかが二歳。

 ……されど、二歳差。

 私より二年はやく生まれた部長が、とてもたくましく、とても立派に見えた。

 私は二年後、悩める後輩を、こんな風に諭すことができるだろうか。
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