嘘つきピエロは息をしていない
つまみ出された私は、廊下で腕を組み考え事をしていた。
昨日の放課後、私がいっちゃんや他の先輩と部室に戻ると、ナイキくんの姿はもうなかった。
けれどナイキくんがピンチヒッターとして演劇部をサポートすることが正式に決まった。
部長が、
『内藤は透明感のある美少年だ』
と証言したために満場一致で期間限定の幽霊部員を受け入れることになったのだ。
しかし放課後に残れないって、どうしてそんなに忙しいんだろう。
そして交換条件とはいえ、よくあのナイキくんが演劇部に協力するなんて言い出したなぁ。
なにが彼をそうさせたのかサッパリわからない。
(まさか……部長効果?)
ナイキくん部長のこと美人って気に入っていたし。
部長が卒業するまでそばで支えてあげるつもりなのかな。
「吉川か?」
「あ、保先生」