BLUE GIRL
保険証を拾ったユウはすぐに受付の女性に手渡しした。
「ツジサキ リコさんですね。問診表の記入をお願いします」
受付の女性が読み上げた自分の名前に、ギュッと目をつむる。
怖くて、ユウの顔が見れない。
病院にユウと一緒に来てはならなかった。
どうして保険証のことを気付けなかったのだろう。
「問診表、自分で書けるか」
近くの椅子に座った私にユウは尋ねた。
「うん」
すぐに追求しない理由は、私が病人であることを気遣ってくれているのだろう。
問診表にも本名を書き、罪悪感だけが募る。
明日も早くから撮影だというのに、私に付き合ってくれたユウを裏切っている。
そして保険証の一件がなければ、私はユウに隠し続ける道を選んでいただろう。
最低だ。
「泣くなよ」
問診表に水滴が落ちる。
その涙が、体調のせいなのか、罪悪感のせいなのか、区別はつかないけれど、
胸が痛い。
息苦しい。
辛いよ、海ーー。