BLUE GIRL
「へぇそうなのね。でも羅依さん、さすがにユウさんのデビュー作は知らないでしょう?」
「バスケ少年の役ですか?主演俳優が事務所と揉めてパッケージ化にならなかった作品ですよね。たった一度、テレビで放送されただけで。録画している知り合いをやっと探しましたよ」
「……」
海が必死になるものだから、Ryoまで近所を駆けずり回り、やっとの思いで手に入れたものだ。
あー、タイトルなんだっけ?
タイトルを思い出すことに気を取られ、気付いた時には雪乃さんの顔が強張っていた。
「もしかして羅依さん、ユウさんに特別な感情をお持ちなの?」
「……ちょっとしたファンです」
「そう。共演できて良かったわね」
雪乃さんが気分を害してしまったことは一目瞭然で、周りのスタッフも気遣わしげに視線を送っていた。
「けれど、ただの共演者ってことを忘れてしまってはダメよ。ユウさんは高嶺の花なのよ」
「はあ…」
あなたがそれを言うのか。
「雪乃さん!ヘアメイク直しますね」
間に割り込んでくれたスタッフに感謝しながら、彼女から離れた。
本当にユウのことが好きなんだな。