BLUE GIRL
恋する女の子はズルいものだ。
欲しくて欲しくてたまらない男の子を求めて、限界まで手を伸ばそうともがく。
私もそうだった。
物心がついた時にはRyoに対して恋愛感情を抱いていた。
それでも幼いながら、はっきりと感じていた。
Ryoは私のことなど眼中にないことを。
「また熱が上がってきたんじゃないだろうな」
考え事をしていた私の隣りにユウが立つ。
「それとも熱中症か?」
骨ばった手が、私の額に触れる。
「だ、大丈夫です!」
「無理すんなよ」
ユウの気遣いはとても嬉しい。
けれど人前で、しかも雪乃さんが見ている前ではあまり干渉しないで欲しい…。
「彼女の視線が痛いんですけど」
「わざとやってるんだから、当たり前だろ」
「はあ?心配してくれてると思って感謝した自分が恥ずかしいです」
顔を近付けてひそひそと抗議し合えば、雪乃さんの視線が鋭くなる。
そうだ、私は雪乃さんへの牽制役だった。
役不足にもほどがある。
「どうせだったら他の女優さんに頼めば良かったのに。ユウの頼みだったら喜んで彼女役を引き受けてくれるでしょう」
どうして自分ではなく地味な女なのかと、雪乃さんが腹をたててしまう前に交代すべきだ。
「他の女?興味ねぇな。お前だから良いんだよ、楽しくて」
「はあ?」
呆れた。
この人、完全に私で遊んでる…!