BLUE GIRL
「ユウ、そういうわけだからもう羅依には近付かないで」
「無理」
Ryoの言葉に足を組み直したユウは笑った。
「【BLUE GIRL】の撮影が終わるまで、こいつは俺のモノだ。俺との約束を忘れたか?」
「約束じゃないよ。ユウが命令してきただけじゃん」
「約束でも命令でも構わないが、撮影が終了するその日まで、俺の自由にさせてもらう。嫌というなら、」
「【BLUE GIRL】の出演を辞退すると言うんでしょ」
彼の言葉にかぶせる。
「分かってるじゃねぇか」
はっきりユウに好意をもっていないと告げたが、彼はいつも通りだった。
私の言葉は何も響いていないことが、悔しい。少しくらい傷付いた顔をして欲しい。
ほらやっぱり、私のことなんてなんとも想ってないんでしょ。
「だからそこだよ!なんでユウは羅依にかまうのさ」
「面白いから?退屈しのぎにはちょうど良い」
不敵な笑みを浮かべたユウに対して私たちは軽蔑の視線を送るが、気に留めずにジュースのお代わりに出て行った。
【BLUE GIRL】を実話だと告げることでリョウ役を演じる重荷を感じてしまうのではないかと一時は心配したけれど、余計なお世話だったね。
どこまでも自由なユウは何も変わらずに演じていくのだ。
自由な表現者。
海だけを思い続ける私たちにとっては、とても遠い存在だ。