BLUE GIRL
「あ、ごめん…」
少し強めに叩きすぎたのか、ユウの手は彼の顔に直撃した。
「今くらいの力を出してくれれば、嫌だっていう意思が伝わってくる。次からそうしろ」
命令口調にいつもなら反撃するが、大人しく頷いておく。
つまりそれって、嫌がったら止めてくれるということだ。優しいのか意地悪なのか、本当によく分からないけれど。
歩み寄ろうとしてくれたユウを、
"ユウのことは共演者として以外、なにも思ってないよ"そう、私が先に突き放してしまった。
私はユウの気持ちよりも、Ryoの気持ちを優先してしまったんだ。
そのことに、ユウが気付かないはずがない。
気付いたからこそ、意地悪されたのだ。
Ryoには話せない嫌がらせをされて、
嬉しいと思うこの心は正直なのに、
口に出すことができずにもどかしい。
「ほらさっさと帰るぞ」
「うん」
【BLUE GIRL】のクランクアップまで後1週間。
ユウへの想いを隠し通す決意を固め、星の見えない空を見上げる。
これでいいよね、海ーー。