BLUE GIRL
驚く私の前にケーキを置き、原田さんがハッピーバースデーを歌ってくれた。
手拍子をしながらユウを見るとゆらゆら揺れる炎を見て、微笑んでいた。
「さぁ、羅依ちゃん!消して」
「はい!」
息を吸い、一気に炎を吹き消す。
「羅依ちゃん、おめでとう!さあさあ、食べて」
スプーンを受け取っている間にユウは店内の電気を点けた。
「いただきます!」
ホールケーキを切らずに食べるなんて贅沢だけど、その味も最上級だ。
「ユウも食べて」
「ああ」
「すっごく美味しいね」
海の誕生日は行き場をなくしたホールケーキを全てユウが食べてくれたけれど、今日は一緒に食べれて良かった。
ハッピーバースデーと書かれたプレートには名前が入っておらず、それがまたユウの優しさに思えた。
今、私は羅依ではなく、
理子として此所に居るのだから。