BLUE GIRL
一緒にお祝いしてくれたお礼を原田さんに伝えて、お店を後にした。
まだ終電に十分間に合う時間だ。
「明日も朝早いのに、遅くまでありがとう」
「ああ」
駅に向かう足取りはゆっくりで、人通りの少ない裏道を通る。
「やるよ」
立ち止まりもせず、トートバッグから小さな箱を取り出して投げてよこした。
「え?」
危うく落としそうになったが、辛うじて掴み取る。掌サイズの黒い箱に青いリボンが巻かれていた。
一目で誕生日プレゼントだと分かり、感動している隙に距離が開く。
「ちょっと、止まってください」
「なんで?俺、明日早いの知ってるよな」
「私だって明日は早いです。いいから、こっち来てください」
腕を掴み、正面に見えた小さな公園にユウを引きずりこむ。
砂場と滑り台を通り過ぎ、ぶつぶつと文句を連ねる彼を奥のベンチに座らせた。
「開けて良いですか」
「おまえにやったんだ。好きにしろよ」
はやる気持ちを抑えて綺麗にラッピングを解く。
箱を開けた中には、ブローチが入っていた。
スズランの花束の形をしたブローチが、キラキラと輝いている。