BLUE GIRL
その夜のユウは少し饒舌だった。
「俺も兄のことは忘れられないけれど、それで良いんだと思うよ。俺は兄の分まで、楽しくやるさ。それが悩んだ末に出した、俺なりの結論だ」
絡められた指から伝わる温もりを、手放したくない。
本当は1週間後も、1ヶ月後も、1年後も、それから先もずっとユウの側に居たい。
そう言葉に出来たら、どんなに良いか。
臆病な心は頑なに蓋をしてしまう。
「ブローチ、大切にします。肌身離さず、御守りとして持ち歩きます」
「失くすなよ」
そっとユウから手を放し、立ち上がる。
彼の温もりを自分から断ち切ってしまった。
これ以上、なにかを求めことを恐れているだけなのかな。
「さ、帰りましょう」
「……ああ」
反対の道だというのに、その日もユウは家まで送ってくれた。