BLUE GIRL

きみへの命令


目覚まし時計の音よりも早く目を開け、冴えない頭で電話に出ると、新曲が出来たから聞いて欲しいとRyoから呼び出された。


朝5時。
駅前の駐車場に停めてあった車に乗り込む。


どうやって電車を乗り継ぎここに辿り着いたのかよく分からない程、眠気が襲っていた。



「おはよ!」


「朝から大きな声を出さないで!」


「いや…理子の声の方が大きいと思うけど。昔から朝が苦手だもんね」


ワイヤレスのヘッドフォンを渡され、助手席で耳につける。


目元にクマができ、くだびれたYシャツからして徹夜だったことが伺えて、文句を言ったことを少しだけ申し訳なく思った。

でも眠いものは眠い…。



「理子!寝ないで!流すよ!」


「…んっ、」


ヘッドフォンから聴こえてきたメロディーに耳を澄ます。



その歌は、
哀しみを笑いに変えて
明日に向かう前向きな姿勢が描かれた、
アップテンポでエネルギッシュな歌だった。

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