BLUE GIRL

小走りでアイスを持ってユウを探す。


ベンチに座って音楽を聴いていた。



「そういえば新曲のタイトル、決まったんですか?」


「とっくにな。Ryoに伝えてある」



アイスを差し出しながら、隣りに座る。
小さなベンチでは距離感がぐっと近付く。



「貸してください」


勝手に彼の片耳からイヤホンを外して一緒に聞く。

【BLUE GIRL】に相応しい爽やかで明るい曲が、静かな夜を包み込むようだ。


「何ていう曲名ですか?教えてください」


「その内、分かるだろ」


「もったいつけないで教えてくださいよ」


チョコレートのアイスをかじりながら、ユウの脇腹を肘で突っつく。


「うるせえよ」


「ケチ」


それ以上の会話はなく、数口でアイスを平らげたユウは私が食べ終わることを待っていてくれている。


もう遅い時間だと分かっているのに、ちびちびとかじった。


溶けるアイスを出来る限り時間をかけて味わう。



「私たち、友達になれますか?」


たぶん寂しいのだ。

撮影が終わり、ユウと赤の他人に戻る前に
友人認定されたかった。


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