BLUE GIRL

「選択肢なんていらない。私に考える余裕を与えないでよ。色々、考えちゃうんだよ。海のこと、Ryoのこと、なにも持っていない自分のこと。そして、あなたのこと」


逃げることを諦めた脳は、時間稼ぎをしたいだけなのか、言葉を発しろという信号を送ってくる。


渦を巻いて言葉が溢れ出す。



「京都旅行の夜、雪乃さんとあなたを見てすごく嫉妬した。雪乃さんとあなたの演技や演出について確認し合っている時に、自分が輪に入れないことがすごく悔しい。最後のキスシーン、胸焼けがした。演技だと分かってるけど、雪乃さんを見つめるユウの温かく、時に熱い視線が嫌い。他の女の人に、そんな目を向けないで欲しい。

ーー本当は嬉しかった!少しでも私のこと女の人として見てくれていること。好きだって言ってくれたこと。でもRyoの手前、嫌な返し方になっちゃった。私、あなたに言ったこと、全部、後悔してる。だって全然可愛くなくて、嫌われるような態度しか取れてないんだもの」



一気に言い連ね、息が上がる。


「大切なものを作って海のように消えてしまったら、って怖くなる。Ryoをひとりにできないって、思うーーーーでもね、それも言い訳なんだよね。海は私の側にずっと居てくれるし、Ryoだってもう前を向いているって分かってる。全部全部、言い訳!私は、あなたに、ユウに!いつか愛想を尽かされることを、怖がっているだけ。あなたに冷たい目で、"やっぱり好きじゃない"って言われることを恐れてるだけなの」


もう無理。
これ以上、話せない。

アイスで潤したはずの喉は乾き、むせた。

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