BLUE GIRL
第3章

つづられた願い


目覚まし時計もかけず、お風呂にも入らずにベッドにダイブした。

高校を辞めて自由になった時と同じ生活リズムだ。

予定もなければ、やることもない。


昼過ぎに起床して食パンをかじる。
行きたい場所も、やりたいこともなく、テレビを眺める退屈な時間。



「起きたの」


「…この時間にいるの珍しいね」


冴えない頭でシャワーでも浴びようかと立ち上がると、母が寝室から出てきた。


いかにもキャリアウーマンという風貌で、スーツと濃いめの化粧を施し、片手にノートパソコンを持っていた。


「だらけてないで、シャキッとしなさい」


「分かってる」


【BLUE GIRL】の撮影が終わり、私のスケジュールは見事なまでの空白になった。

今までが非日常だったのだ。



「それ、素敵ね」


母の視線がワンピースにつけたブローチにいった。

ああ、昨日の服のままだ…。



「いただきもの?」


「うん」


「あなたのこと、よく理解してくれているのね」


久しぶりに笑った母を見た。

< 184 / 213 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop