BLUE GIRL
誕生日に着たワンピースとまではいかないけれど、できるだけ可愛い服を選んだ。
海に無理矢理買わされた丈の短めなフレアスカートと刺繍のあるブラウスが役に立つ時がきたようだ。これからはもっと洋服を買わないとな。
帽子をかぶりサングラスをして料亭の扉を開ける。
準備中と書かれた札を見て入るべきか迷ったが、そっと扉を開ける。
「こんにちは」
「あら、いらっしゃい」
「ユウのお母さん…」
最初に来た時に以来だ。
よく見たら涼しげな目元も真っ直ぐな瞳も、高い鼻もユウにそっくりだ。
「どうぞ入って。ユウは奥の個室よ」
「お邪魔します」
「ユウのこと、宜しくお願いね」
「え、あ、はい!」
頭を下げる。
ユウのお母さんはやっぱり優しい笑顔を浮かべて、肩を叩いてくれた。
「すぐにお茶を持って行くから」
「お手数をおかけしてすみません」
着物姿で機敏に動くお母さんを見て、素敵だと思った。