BLUE GIRL
「なんで…」
廊下を通りいつもの奥の個室に入れば、蕎麦をすするRyoの姿があった。
「勝手に押し入って来たんだよ。どうにかしてくれ」
畳の上に足を投げ出して腕組みをするユウは眉間にシワを寄せて不機嫌丸出しだ。
「いやあ、近くまで来たから。この料亭はユウの実家だと有名だからね。まぁ高級すぎてファンは中にまでは踏み込めないみたいだけど」
ジーンズとタンクトップ姿のRyoは寛いだ様子でテレビに視線を向けた。
「Ryo、ユウを困らせないでよ」
「それで?その格好はなに?」
「……」
「随分と可愛い格好してるじゃん。どこか出掛けるところだった?」
Ryoの問いに、彼の隣りに正座して座る。
ユウに海のことを打ち明けた話と、ユウに対する想いを告げなければ。
今がそのタイミングだろう。
「いいから、早く食って出て行けよ。おまえは腹減ってないか?」
覚悟を決めた私の言葉をさらりと交わしたユウはメニューを見せてくれた。
可愛い格好だとあなたに言われたかった。
「朝ご飯少ししか食べてないから、軽いもの食べたいな」
ついつい誤魔化してしまった。
Ryoの反応を見ることが怖いのかもしれない。
今でたくさんRyoに助けられてきたのだから。