BLUE GIRL
そっぽを向いているユウは何も言わなかった。
「本気でユウのことを好きなの?」
「本気だよ」
「俺よりも好きなの?」
「Ryoへの好きとユウへの好きは別物だよ」
「ふぅ。困ったな…」
顔を上げたRyoは指輪に触れた。
迷った時や困った時に海とお揃いの指輪に触れることがRyoの癖だ。
「いや、良かったというべきか。おまえに好きな奴ができたんだもんな。喜ぶべきだけど、複雑だよ。もうおまえに膝枕を頼んだり、抱き締めてやることもできないわけだな…寂しいよ」
Ryoの悪気のない発言にユウの顔が僅かに強張った。
「もうそういうことは…遠慮しておくね」
「あーそうか、そうだよな」
頭をかいたRyoは、その手で私の頰に触れた。
「じゃぁ、最後に、これで本当に最後だから。僕のこと抱き締めて。ハグだよ、ハグ」
「……」
わがままを言う子供のようだけど、こういう時、私はなんの躊躇いもなくRyoの願いを叶えてあげていた。
けれど、もうーーそれはできない。
「ごめんね、Ryo」
頰に置かれた手をそっと剥がす。
ギターの弾きすぎで荒れた手に何度もクリームを塗ってあげたけれど、これからはその手に触れることすらしてあげられない。
私が選んだ道は、そういう道だからーー