BLUE GIRL

「謝る必要なんてないよ、めでたいことだよ」


何故か、Ryoは矛先を変えてユウに飛び付いた。


不意をつかれたユウは畳に押し倒され、さらにRyoに抱き締められる。


「理子のこと、泣かすなよ!」


「離れろ!」


起き上がろうと、もがく。
残念ながらリョウ役を演じるために鍛えていても、元から体格の良いRyoには敵わない。


「小さい頃から俺が大切にしてきた女の子なんだからな!絶対に泣かせるなよ」


「退けっ!」


心なしかRyoは涙声になっていた。

ユウもそう感じたのか抵抗することを止めて大人しくいった。


「おまえに言われなくても、大切にするし、泣かせないよ」


「本当だな?男に二言はないな?」


「ああ」


海を見る目とはまた違う、優しい眼差しをいつも向けてくれていた。Ryoは私のことも何度も守ってくれた。

彼の隣りは心地よいけれど、私も卒業しないとな。

今度は自分の足で立って、ユウを追いかけよう。


「よし!理子、写メとって!」


「写メ?」


「早く!」


急かされてシャッターを押したが、
後日その写真がRyoのSNSに掲載され、アクセスランキング首位に躍り出た。


シンガーソングライターRyoと、人気俳優のユウの抱擁に女子たちは悲鳴を上げたのだ。
もちろん良い意味で。

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