BLUE GIRL
「海に親友のことを頼まれたけれど、友達のいない俺にはどう接して、どうおまえに心を開いてもらえば良いか分からなかった。女の扱いもよく分からなかった」
出逢った初日のキス。
あれはユウが私の気を引きたいあまりにとった、誤った行動だったのだ。
「椎名雪乃のことを言い訳にして、おまえに近付いた。スキャンダルというかたちで、おまえを側に置いておきたかった。守ってやりたかった」
ギュッと、ユウに手を握られた。
「全ては、海が俺に託した願いのために」
その手は少し汗ばんでいた。
私も額に嫌な汗をかく。
「海のため………」
強くユウの手を握る。
「そう。最初は海のためだった。だけど、いつからかおまえに惹かれてた。海に託されたからでなく、男としておまえの側にいたいと願った」
男としてーー
「誰にも手紙を見せることはしないと決めていた。手紙を読んだら、おまえは海に後押しされたような気持ちになり、俺を好きだと錯覚するかもしれない。海の願いのために俺と一緒にいることを選択するかもしれないと思ったーー流されて欲しくなかった。偽りの気持ちを向けられることを俺は恐れた。卑怯だよな…」
大袈裟に首を振り、
両手でユウの手を握ろうとして気付く。
彼の手に私の爪痕がくっきりと残っていた。