BLUE GIRL
映画館の赤い絨毯を歩き、売店に向かったユウの後を追う。
「何にする?」
「ポップコーンと、アイスコーヒー!」
お財布を出そうとすると、睨まれる。
映画の鑑賞料金もユウもちなんだけどな…
海外で撮影をしていたユウとは久しぶりに顔を合わせた。
空港で待ち合わせをしてそのまま映画館に来たけれど、もちろん甘い雰囲気になることもなく少しがっかりしている。
3ヶ月も会えなかったというのに、感傷的にならないのかな…うん。ならないよね、ユウは。
Tシャツとジーンズというラフな格好だったけれど相変わらず人目を引く。
それが悔しくて彼のTシャツの裾を少し握っている。伸びない程度に、軽く。それだけで少し安心するのだ。
「ヒットして嬉しいね」
「俺が出たんだから、当然だろ」
「さすが俺様俳優」
こそこそと話しながら、既に他の映画の予告編が上映されているスクリーンに入る。
自分の作品を見るのって緊張するよね。
キャストとスタッフ向けの試写会はあったが、どうしてもユウの都合がつかず、私も辞退した。だってユウと一緒に見たかったから。
映画のプロモーションの全てを雪乃さんとRyoが引き受けてくれて、そのおかげもあり、本日も満席だった。