BLUE GIRL

照明が点く。


鼻水を啜る音や、感想を語る声で溢れかえる。





「目が真っ赤だ」


ユウに手を引かれ、私たちは席を立った。






『きみのいない明日へ』
そのタイトルを選択したユウと、受け入れたRyoに背中を押されるかたちで監督に直談判した。


【BLUE GIRL】のラストを変えて欲しいと。




海が亡くなったことを世間に隠すよりもありのままに伝えて、それでも希望があることを伝えたかった。


私もRyoも笑えるようになったからーー。

もう大丈夫だと海に伝える意味も込めて、エンドロールの最後にシーンを追加してもらったのだ。




「泣くなよ」


人の少ない柱の近くに移動し、ユウは私の涙を親指で優しく払ってくれた。


「今更、泣くなんておかしな話だけど…止まらない。でもやりきったよね、私…」


「ああ」


「【BLUE GIRL】が素敵な作品になって良かった」



前を向いたつもりでも、進んでいるつもりでも、どこか不安があった。


それでも今日【BLUE GIRL】の完成形をこの目で確かめ、心がすっと晴れた。


海が望むようなラストにはできなかったけれど、


理子とリョウにとっては希望のあるエンディングとして


本当の意味で【BLUE GIRL】は幕を閉じた。


< 208 / 213 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop